国道112号線旧道

 

 山形県山形市と山形県酒田市を結ぶ国道112号線は、1953年(昭28年)に誕生した国道。誕生当時は山形市〜鶴岡市間の国道で、旧街道の六十里越街道に沿ったルートで設定された。

 誕生から50年近く経過する老舗の3ケタ国道なので、道路の整備・拡張は全区間において進められた。現在では、寒河江BPや鶴岡南BP、月山道路などの別ルートで建設されたBPが現R112となっており、古くからの町中や鶴岡市街を通る旧六十里越街道沿いのルートを進む旧R112は県道に格下げされている。

【左写真】:大越峠の旧R112沿いにあったR112標識。まだ現役国道となっているようだ。

走行日:各項参照

走行方向:各項参照

レポート:各項参照

国道112号線旧道

大越峠旧道

国道112号線旧道

【大越峠旧道】

R112大越峠旧道

 大越峠は山形県西村山郡西川町と山形県東田川郡朝日村の間、湯殿山の麓にある標高913mの峠です。現在の大越峠R112旧道は1903年(明治36年)に竣工した道が前身。旧六十里越街道は、旧R112のルートから遠く離れて湯殿山の北東を迂回するルートを通る険しい道だったことから、庄内と内陸を結ぶ道路として建設されました。その道が1920年(大9年)に山形県道六十里越街道に指定され、1934年(昭9年)に改修工事が終わり本格的な車道となり、1953年(昭28年)にR112に昇格しました。

 湯殿山の麓にある大越峠は旧国道の難所。狭路で勾配のきつい坂道と急カーブが連続する酷道で越えるのに時間がかかり、また積雪の為に通行止めとなるため、冬期に山形市と鶴岡市を移動するにはR13〜R47で大きく迂回しなくてはなりませんでした。

 その不便さを解消するために建設されたのが月山道路。大越峠を月山第一TNで越えるBPで、1970年(昭45年)に工事が開始され、1981年(昭56年)7月に完成・供用開始となりました。月山道路は西川町月山沢〜朝日村田麦俣の間を、月山第一TN・湯殿山TN・月山第二TNと大きな橋で結ぶ高速道路並みの道路。月山道路の開通によりR112大越峠の狭路区間は解消され、山形市〜鶴岡市間の所要時間は大幅に短縮されました。

 月山道路の開通により、大越峠越えの旧道、月山スキー場入口(r114分岐点)から先は廃道になるかと思われましたが、月山道路がR112の自動車専用道路となっているためか、開通して20年近く経過しても現役のR112として残っています。歩行者・自転車・125cc以下の原付バイクは、大越峠を越える旧R112を通らなくてはなりません。

 大越峠の旧R112は冬期は積雪のために終日全面通行止めになります。

 

(注)大越峠の旧R112は現役国道のようですが、BPの月山道路が開通しているのでここではR112旧道として取り扱います。

西川町側旧道分岐点〜湯殿山道路入口

記述方向:山形県西村山郡西川町→山形県東田川郡朝日村方向

 R112大越峠旧道の西川町側分岐点は、山形自動車道月山ICから寒河江市寄り1kmほど手前にある。R112を寒河江市市街より鶴岡市方面に走ってきた場合、道の駅『にしかわ』から2.5kmほど鶴岡市方面に進んだ所にある。旧道が分岐する交差点角にドライブインがあり、『月山スキー場』『月山志津温泉』と書かれた大きな案内看板が目印となる。

 旧R112は、R112から月山スキー場への連絡道路となっているので道は整備された2車線幅の舗装道路となっている。分岐点から旧道に入るとすぐに2車線幅のままヘアピンカーブを4つ連続して曲がる。急勾配の坂道を上ると足下に先ほど走ってきた道が見える。わずかの距離で標高を稼いでいるのだ。4つ目のヘアピンカーブを曲がると、緩やかな勾配の2車線幅の坂道となり弓張平公園へと入って行く。

 旧道分岐点から約3kmで逆トの字の交差点に到着。R112旧道は直進するのか右折するのか迷うが、右折してやや狭い2車線幅の道に進む。交差点から少し進むとR112国道標識が立っていた。旧道分岐点から6kmほど進むと、西川町志津地区の町中へ到着する。夏は月山への登山口、冬は月山スキー場の宿泊地となるようで、旅館やホテルが建ち並ぶ。町中から1kmほど進むと、月山スキー場へ向かうr114(山形県道月山志津線)の分岐点に到着。ここの分岐点では左の道に入る。r114分岐点から朝日村側に少し進んだ所に2枚目のR112国道標識が立っていた。(TOP写真がそれ)

 r114分岐点付近で旧六十里越街道のルートから離れて、明治期に建設された近代の六十里越街道のルートに入る。志津地区から先は、民家はなくなり深い山中へと入って行く。人工物は道路以外にはない。1.5車線幅の狭路を淡々と進んで行く。見通しの悪いカーブが連続する狭路ワインディング道路。急勾配の坂道や急カーブが連続する。しかし路面は思った以上に荒れていないので、走りやすい旧道だと言える。やがて道は少し長い急勾配の坂道となる。坂道を上りきると大越峠。山形県西川町と朝日村の境である。志津地区の町中から約7km、西川町側の旧道分岐点から約14kmである。

 峠を越えて朝日村に入ると、道は1.5車線幅の下り坂となって山中をひた走る。峠から3kmほど狭路を進むと冬期閉鎖のためのゲートを通過して、湯殿山道路入口に到着する。西川町側の旧道分岐点より約17kmである。

1.R112大越峠旧道西川町側分岐点。

  この看板と左の駐車場が目印。

2.旧道に入ると2車線幅の道となっている。

  この先からヘアピンカーブが始まる。

3.弓張平公園にある逆トの字交差点。ここを

  右に進む。

4.分岐点から少し進むとR112国道標識

  が立っている。この先は志津地区の町。

5.r114分岐点を過ぎると山中の狭路に。

  急勾配・急カーブが連続する道を進む。

6.大越峠に到着。路面に『西川町』と書かれ

  ているが、ほとんど消えている。

 

7.大越峠を越えて下り坂を下って行く。

  道路以外人工物は何もない山中を淡々と

  進んで行く。

8.冬期閉鎖ゲートを越えて湯殿山道路入口

  に到着する。

  (朝日村→西川町方向を撮影)

 

湯殿山道路入口〜朝日村側旧道分岐点

記述方向:山形県西村山郡西川町→山形県東田川郡朝日村方向

 湯殿山道路入口前にある湯殿山ホテル前を過ぎると、2つめのゲートを越えて1.5車線幅の狭路へと入って行く。西川町側の区間とは違い、朝日村側の旧道区間は鬱蒼とした深い山中を進んで行く。見通しの悪いカーブと勾配のきつい坂道が連続するので、対向車にかなり注意しながら走らなくてはならない。

 谷側は深い森になっているのだが、所々には道路が崩壊した跡がある。ガードレールは設置されておらず、数mおきに立っているポールにロープが巻き付けてあるだけの区間もあった。対向車との離合では脱輪したくない道である。

 湯殿山道路入口から6kmほど進むと鬱蒼とした山中から抜け出すが、道は1.5車線幅のまま急カーブと急勾配が連続する区間へ入る。結構急な勾配の坂道で、朝日村から西川町へ向けて自転車で上るのはかなりきつそうな坂道だ。ちらほらと民家の屋根が見えてくると集落も近い。2箇所のヘアピンカーブをクリアして急勾配の坂道を3kmほど進むと、朝日村田麦俣地区の集落へ到着する。かやぶき屋根で有名な民家がある集落だ。この集落に入る手前付近で、旧六十里越街道と合流する。

 典型的な東北の山間の集落内を1.5車線道で過ぎて行くと、やがてR112月山道路の立派な赤い橋の大清水橋が現れる。橋をくぐって少し進むと、朝日村側の旧道分岐点に到着する。湯殿山道路入口から約12km。西川町側の旧道分岐点から約29kmである。

 R112大越峠旧道の朝日村側分岐点は、R112月山道路の大清水橋手前(鶴岡市市街寄り)である。大橋手前の左カーブの途中から分岐する道がR112旧道である。

.湯殿山道路との交差点。右に進むと湯

  殿山道路入口へ。左に進むと月山道路

  に下る。

10.交差点の鶴岡市側にあった閉鎖用のゲ

  ート。左にある駐車場から歩行者が飛び

  出してくるので注意。

11.朝日村側の旧道は鬱蒼とした薄暗い山

  道が続く。対向車との離合には注意が必

  要。

12.見通しの悪いカーブが連続する。深い山

  中を進む1.5車線道をひた走る。人工物

  は道路以外何もない。

13.田麦俣の集落を過ぎるとR112月山道

  路の大清水橋をくぐる。車の高さに注意

  しないと屋根を擦る。

11.右の2車線道がR112月山道路。左の道

  が旧道。

  (朝日村→西川町方向を撮影)

   

12.朝日村側のR112大越峠旧道分岐点。

  左にそれる道が旧道。厳密には”連絡道

  路”となる。

 

 

☆★☆ 国道112号線旧道 【大越峠旧道】 ☆★☆

 R112大越峠旧道は、見通しの悪い狭路が30km近く続くために『濃い酷道』という印象がしましたが、実際に走ってみた感じとしては、よくある山中の狭路3ケタ国道でした。

 走る前は結構荒れている道かと思いましたが、月山道路を通ることが出来ない歩行者・自転車・125cc以下の原付バイクが通る道となっているためか、道路自体は整備されています。ただし急勾配・急カーブが連続する区間もあり、自転車で通り越すにはかなりの体力と時間が必要となります。

 整備されているとは言っても、山中では車幅が狭く、路肩が崩壊しかけている箇所もあり、車同士の離合時には注意しなくてはなりません。道路で最も難儀するのは朝日村田麦俣地区にある狭路の急坂とヘアピンカーブが連続する区間です。3kmほどですが、ここだけは『酷道度』の濃い区間です。

 交通量は西川町側で多いようです。西川町志津地区までは乗用車や宅配トラックの姿を数台見かけましたが、r114分岐点から朝日村田麦俣地区までの間に出会った車は1〜2台だけでした。バイクは4台ほどすれ違ったので、月山道路の長いTNを嫌うライダーは旧道を走るようです。

 バイク・車の運転初心者は走らない方が無難でしょう。湯殿山道路との交差点を麓に向かうと、R112月山道路に下りることが出来ます。バイクや車で走ってみて冷や汗をかいた場合は無理しないで月山道路に下りましょう。

 晩秋・早春は路面凍結・積雪のある道なので注意して下さい。なお、大越峠旧道は11月中旬〜翌年6月末までの間は終日全面通行止めとなります。

 【走行DATA】 

R112大越峠旧道

【山形県西川町→山形県朝日村方向で走行】

2001年9月8日

☆★☆ 朝日村内のR112旧道 ☆★☆

 R112大越峠旧道の朝日村側ですが、厳密に言うと月山道路大清水橋手前が分岐点ではなく、旧道はまだ先に続いています。

 写真12の地点は旧道がR112月山道路に再接近した場所で、月山道路と旧道間の幅広の道は厳密には旧道でなく”連絡道路”となります。実際には写真左側から山中に向かって1〜1.5車線幅の狭路が続いていました。地図によると、旧道は山形自動車道と交差して大きく周りながら標高を稼ぎ、R112田麦俣TNの上を通って鶴岡市側のどこかでR112と合流。その後旧道は朝日村大綱地区の集落へと続くようです。

 実際に現地に行ってみたら旧道はまだ先に続いていたのでどうしようかと迷ったのですが、その先は全く調べていなかったので、この先を進むのは危険と判断。時間の都合もあって、そのままR112実走調査に戻りました。この先の旧道はZRX1100はもとより車での走行は不可能な道路状態になっている可能性が高いと思われます。徒歩でも危険かも知れませんので、行かれない方が無難でしょう。道自体は廃道になっているかも知れません。

 大越峠旧道をZRXではなく、KSRUで走っていたら間違いなく走っていたことでしょう。(^^;)

 

 R112には関係ないことですが、田麦俣地区から鶴岡方面への旧六十里越街道は、R112沿いではなく塞ノ神峠を越えて大網地区に向かっていたのではないかと考えております。これは地図を見た限りの推測ですが・・・ 車道ではないのに峠名がある峠道は旧街道であることが多いものですから。

 旧街道も気になる今日頃の頃です・・・ (^^;)

2002.03

【R112旧道終わり】

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