>>R169旧道TOP

>>R169旧道(2-2)

国道169号線旧道(2-3)

大滝ダム

○国道169号線大滝ダム旧道

  【2003年レポート】

■吉野郡川上村【(旧)人知地区〜(旧)井戸地区】

 川上村(旧)人知地区を過ぎると、R169旧道は付け替え道路(R169現道)の真下を走っていたが、平15年(2003年)5月に訪れてみるとすでに水没してしまい、姿を確認することは出来なかった。水位の上昇は早く、吉野川に架かっていた橋は水没直後という状態だった。

 少し南に進むと水没を免れた旧道が確認できたが水没も時間の問題という状態。川上村最後のガソリンスタンドがある地点は、4月の時点では旧道の姿を確認出来たが、5月になるとわずか100mぐらいしか水の上に姿を出しているだけで、あと少しすれば完全に水没してしまう ような状態となっていた。下井戸バス停付近には、つい最近水没したであろう旧道の姿が見えた。

 6月頃には完全に水没したと思われるが、9月には再び姿を現している。

平15年(2003)4月

1.4月の時点では、この付近はこの程度の水

  位しかなかった。旧道は高い位置にあるので

  水没していない。

2.途中にあった橋。水没直後のようで、水面下

  に姿が確認出来る。試験灌水を開始してから

  1月ほどでここまで水位が上昇した。

3.ガソリンスタンド先のカーブから見た旧道。この

  付近は水の流れは止まり水がたまり始めてい

  た。

平15年(2003)5月

1.わずか1ヶ月ほどで水位は一気に上昇。

  旧道の姿はなくなった。

2.橋は完全に水没。旧道も姿を消してしまった。

  ここまで上昇するとは思わなかった。

3.ガソリンスタンド下の旧道がかろうじて水没を免

  れていた。

   

4.旧道から集落に向かう道路の分岐点まで水

  没している。

   
平15年(2003)8月

 

1.地滑りを受けて水位を下げ始めた頃。この付

  近も水没直前だったようだ。

2.分岐点付近も水没している。満水時はここも

  完全に水没することになる。

 
平15年(2003)9月

1.かなり水位が低下し旧道が再び姿を現した。

  路面は泥だらけ。斜面も崩落している。

2.まだ橋は姿を現していないが、うっすらと姿が

  確認できた。

3.ガソリンスタンド付近の旧道もほぼ姿を現した。

  ご覧の通り、水没した箇所の緑は無くなった。

   

4.水が下がった直後なので、ラインでどこまで

  水位が上昇したかが分かる。

   

■吉野郡川上村【(旧)井戸地区】

 井戸橋付近まで南下する。平15年(2003年)4月の時は、この付近の吉野川は流れがあり旧道もその姿をはっきりと確認出来た。「満水になってもこの付近の旧道は沈まないのでは?」と思ったほどた。

 ところが一月後の5月に来てみると見事に水没していた。最近水没したようで、水面からは沈んだ旧道の路面がはっきりと見ることが出来た。ここもいずれは水位が上昇してエメラルドグリーンの湖面からは旧道の姿を見ることは出来なくなるのだろう。

 井戸橋の橋脚付近の旧道上にあったR169国道標識であるが、どうやら支柱ごと撤去されている。ガードレールなどは撤去していないが、標識関係は支柱ごと撤去しているようだ。

平15年(2003)5月

1.井戸橋から下流(大滝ダム本体)方向を見る。

  うっすらと見えているのが水没した旧道。

2.上流方向を見る。吉野川左岸にあった旧道は

  まだ一部が水没を免れている。

3.井戸橋の橋脚付近には国道標識があったが、

  支柱ごと撤去されている。

平15年(2003)8月

1.水位は低下し始めているが、旧道の姿は見え

  ない。

2.水位が低下して、ほんの一部だけが水没を免

  れたようだ。

3.くっきりと色が変わるラインまで水がたまった。

  うっすらと旧道が見える。

平15年(2003)9月
 

1.やがて旧道と橋が姿を現した。どちらも泥が積

  もっている。

2.9月になるとかなり水位が下がり、少し上流

  では流れが復活していた。

 

■吉野郡川上村【(旧)井戸地区〜(旧)下多古地区】

 井戸橋を過ぎると旧道の姿が確認できた。平15年(2003年)4月時点で水位は上昇して来てはいるが、まだ旧道を水没させるほど上昇していない。しかし吉野川は流れは完全に止まっており、徐々に水位は上昇している。現在確認できる旧道も、ダムの満水時には水没する可能性が高い。

 途中には対岸に渡るコンクリート製の橋があったが、平15年5月には橋の真下約40cmぐらいまで水位が上昇しており、この橋も水没するのは時間の問題だろう。

平15年(2003)5月

1.水位は徐々に上昇しており、すでに河原は水

  没。旧道目指して上昇していた。

2.途中に架かっている橋も水没直前の状態。

  この付近まで水没するとは予想しなかった。

3.水位が上昇しており、橋のすぐ真下まで水面が

  迫ってきている。水没も時間の問題。

平15年(2003)8月

1.このときだけ上流方向を撮影。旧道が没する

  前に水位が低下した。

2.くっきりと色分けされた位置まで水没したのだ

  ろう。

3.周囲の状態から推測すると、橋の路面付近ま

  で水位が上昇したと思われる。

平15年(2003)9月

1.水の流れが復活した。旧道は水没するまでは

  水位は上昇しなかったようだ。

2.水没前の状態にほぼ戻った。地面むき出しの

  部分は水がたまったところ。

3.橋も元の状態に戻った。再度試験灌水が行わ

  れるまで、この橋はこのままとなる。

■吉野郡川上村【(旧)下多古地区】

 下多古地区の武光橋まで下ってきた。この付近のR169旧道は現R169の基礎部用地となってしまったようで、付け替え用の2車線道が建設されていた。この付け替え道もすでに放棄されていたが、武光橋付近はまだ水位が低いため姿を確認することが出来た。たまたま出会った地元の 方に聞いたところ、武光橋下にある旧武光橋の橋脚も含めて旧道も水没するとのこと。

ダム本体からかなり離れているので、ここまで水がたまり水没するというのがピンとこない。

平15年(2003)5月

1.武光橋から下流(大滝ダム本体)方向を撮

  影。この付近は付け替え路だった。

2.旧橋の橋脚が残る。その向こうに旧道があ

  った。元の旧道は消滅している。

3.武光橋付近の流れは止まり、水がたまり始め

  ていた。

平15年(2003)8月

1.付け替え路の橋脚が浸るぐらいまで水位が上

  昇したようだ。

2.旧橋脚の色が変わっているレベルまで水位が

  上昇したのだろう。

3.武光橋から上流方向を見る。張り出してるのが

  旧道の付け替え道路。

平15年(2003)9月

1.川の流れが復活している。この場所でも結構

  な高さまで水没したことが伺える。

2.旧橋脚付近も水がひいた。土砂が溜まったた

  め、流れが悪くなっている。

3.10月には水の流れが復活していた。ここも再

  試験灌水まではこのままだろう。

■吉野郡川上村【(旧)下多古地区】

 武光橋を過ぎるとほどなくして(旧)下多古地区の集落跡が見えてくる。平14年(2002年)夏頃までは川原に10軒ほどの民家や工場があった。立ち退く気配が全くなかったので、「ダムが完成してもここは水没しないだろう」と思っていた。

 しかし 平15年(2003年 )4月に来てみると集落があった所は更地となっており、集落は跡形無く消えていた。5月に訪れると吉野川の流れは徐々に止まりかけていたところを見ると、この付近まで水没するということなのだろう。

 満水状態にはならなかったため、この付近がどれだけ水没するかどうかは、再度の試験灌水を待つことになる。

平15年(2003)4月

1.(旧)下井戸地区の集落があった場所。坂道

  が連絡道路となる。

2.数軒あった家屋は全て撤去されて更地になっ

  ていた。

3.旧道の最南端。標識は撤去されている。この付

  近まで水没するのだろうか?

平15年(2003)5月

1.川の流れがなくなっていた。旧道の高さぐらい

  にまで水位が上昇するのだろうか。

2.連絡道路分岐点。のちにフェンスによる頑丈

  なゲートが設置される。

3.結局、この場所は水没することなく試験灌水は

  中止された。

*以前のレポートを修正・訂正し、写真を差し替えて再掲載しています。

◆2003年レポート終わり

<<MEMO>>

 平15年(2003年)3月頃にR169旧道のページを更新しようと思い立ち作業に取りかかります。その課程でR169大滝ダム旧道の現状を知っておきたくなり、4月上旬に大滝ダムに向かいます。現地に着いて唖然としました。ダムは完成しており、そこには巨大なダム湖が姿を現していたのです。旧道は走ることはおろか、その姿すら確認することが出来なくなってしまいました。

 地元の人に尋ねてみると、3月末にダムが完成し試験貯水を始めたとのこと。試験貯水とは、ダム完成後一度満水状態にしてダム本体や護岸のコンクリート壁、周辺施設への(貯水による水圧等の)影響を調べるために行われる、いわゆる「ダムの試運転」みたいまものです。試験貯水が始まって2週間ほどしてから訪れたのですが、その時点であれだけの水が貯まっていました。水が たまる早さに驚きました。

 4月に訪れた後 に写真を編集しますが、どうしても撮影しておきたいポイントが出てきたので5月に再訪します。ところがわずか1ヶ月ほどしか経っていないというのに、水位はかなり上昇しており、4月の時は確認できた旧道のほとんどが水没してしまいました。お気に入りの橋も水没し始めていま した。

 役場の人に聞いてみたところ、大滝ダムは平15年9月頃には満水になるそうです。龍のモミュメントが完全に隠れるまで水を溜めるのだそうです。そうなるとかなり上流まで水が溜まることになります。大滝ダム旧道はほぼ水没して姿は見れなくなります。

 渇水期に姿を見ることが出来るぐらいになるでしょう。しかしダム底が見えたとしても、土砂が堆積してしまいダム底なのか旧道なのかすら判別できなくなると思われます。また一つ、紀伊半島の悪路3ケタ国道が消えて行きます・・

■延期となった旧道の水没

 大滝ダムの満水時期は平15年(2003年)秋と予定されていました。一度満水まで貯水した後にすべて放水して、ダム関連施設や周囲の土地・山の斜面などに亀裂などがないか確認してから竣工となり、水を貯めることになっていました。秋の満水〜放水〜再貯水を狙って撮影に行き、満水後となった平16年(2004年)4月の姿を撮影して大滝ダム旧道シリーズを終える予定でいました。

 ところが平15年(2003年)5月に川上村白屋地区の民家や周辺の道路などに亀裂や変形などが見つかり、大滝ダム試験かんすいによる影響ということで貯水作業は一時中断。専門家による調査と検討の結果、白屋地区では地滑りが発生した可能性があるため対策工事が必要と判断。8月から1日50cmの割合で水を減らし、発電に必要な最低限の水量まで減らした後、本格的な調査と対策工事を行うことになりました。

 ダム湖が満水になり稼働し始めるのは来年以降にずれこむ様です。全国ネットのニュース番組にも取り上げられた大滝ダム。行く末はどうなるのでしょう?

>>平15年11月追記

 8月上旬、9月上旬、10月中旬と3ヶ月続けて訪れています。8月の時は、試験貯水を中止して放水を始めた直後でした。放水による水量減少は意外と早く、9月の時に訪れると5月ぐらいのレベルまで下がっていました。それから約1月後、10月に訪れると水はほぼなくなり、北塩屋橋から上流方向(南側)は水の流れが復活していました。北塩屋橋からダム本体方向(北側)は水が貯まっていましたが、旧道は姿を現していました。発電用としてある程度の貯水が必要なためだとか。

 白屋地区の件ですが、なんと亀裂は23箇所ほどあったとかで、長さは最大50mほどあったとか。奥行きは分からないということになっています。ところが国土交通省は、あれほど渋っていた白屋地区の移転・補償問題を、調査後あっさりと認めています。亀裂の大きさは想像以上でいつ崩れてもおかしくないという状態になっているのではないでしょうか?

 たまたま出合った地元の人から聞いた話では、他の場所では杭をしっかり打ち込んで崩れないようにしているそうなのですが、亀裂が見つかった場所は表面をコンクリートなどで固めて覆っただけのところだったそうです。40年前の調査では大丈夫だったそうですが、その後の地質調査の進歩によって地質が脆いことが判明しているのにもかかわらず、40年前の計画通りに建設を進めた結果が今回の騒動だそうです。地元の人はかなり呆れていました。

 また他の方から聞いた話では、亀裂が発生した場所の工事を行ってから再び水を貯め、また水を抜き、修復状態を確認するそうです。あと1年ぐらいは貯めたり抜いたりが続くようですね。まぁ本格的に貯水するのは白屋集落の移転問題・補償が終了してからでしょう。何年かかることやら・・・。

>>平21年9月追記

 6年近くぶりの追記です。白屋地区の地滑り対策工事はすぐに着手されて2年ぐらいで終わるかと思っていたのですが、白屋地区住民への補償や移転交渉が難航。工事が開始されたのは平17年(2005年)4月になってから。工事は平20年(2008年)2月に完了し、4月から試験灌水が行われることになっていました。

 ところが白屋地区の地滑り対策工事たけなわの平18年(2006年)3月になって、川上村大滝地区と迫地区においても地滑りが発生する可能性があることが判明。同地区でも地滑り対策工事が行われることになり、試験かんすいは再び延期。ダム自体の竣工は平成23年(2011年)度中頃以降に延期されました。予定されていた竣工が平15年(2003年)度末だったので、かれこれ8年はずれ込むことになります。ただしあくまでも予定。まだ別の場所で工事が必要になればさらに延期されることになるでしょう。

 それまでの間、再度姿を現した旧道の姿を見ることができるわけです。再度姿を現した平15年秋以降、年2回ほど旧道の姿を撮影し続けています。今年(平21年)でそれも終わるかと思っていたのですが、さらに2年は延期されたことになります。(^^;) ここまで続けると竣工して満水になるまで撮影し続けるつもりです。

 なお、平15年(2003年)秋以降の旧道の写真は、あまりにも量が多いため作製予定の別サイトにて公開します。気長にお待ち下さい・・・。m(_ _)m

●走行DATA

大滝ダム旧道

【 R169現道その他を走行】

>>走行日:平15年(2003年)4月10日/5月2日/8月7日/9月0日

【大滝ダム旧道【2003年レポート】終わり】

>>国道169号線旧道(3)

>>R169旧道TOP

>>R101〜R 244旧道に戻る