国道372号線旧道

 

●概況

 国道372号線は京都府亀岡市と兵庫県姫路市を結ぶ3ケタ国道。 京都府亀岡市〜兵庫県篠山市〜兵庫県姫路市と、近畿中北部を横断している。

 旧街道沿いに進む国道で、かつては旧街道の雰囲気を残す狭路区間が

長かったが、交通量の増加や幹線道路として整備されて快適な2車線の3

ケタ国道に生まれ変わり、あちこちで旧道が誕生している。

●取材DATA

>>走行日:各項参照

>>走行方向:各項参照

>>レポート記述方向:各項参照

●国道372号線 履歴

 1975年(昭50年)4月1日:京都府亀岡市〜兵庫県姫路市の国道として誕生。

 現在に至る。

◆Update:2006年6月25日

国道372号線旧道

天引峠旧道

●天引峠旧道

 京都府南丹市園部町(旧:船井郡園部町)と兵庫県篠山市との間にある峠が天引峠。

標高約320mの峠であるが、峠を越える道は急カーブと急勾配が連続しており、R372

でも屈指の悪路であった。

 これを解消するために建設されたのがR372天引道路。1995年(平7年)度から着工され、2003年(平15年)11月に天引TN(L=636m)を含む全長1.5mの区間が、先行部分供用された。これにより峠を越える道は旧道となった。

>>Update 2006.04.20

○国道372号線旧道

  【天引峠旧道】

【レポートは京都府南丹市→兵庫県篠山市(東→西方向)です。】

■京都府側【南丹市園部町】

 天引峠(岩坂峠とも言う)の京都府側の集落になるのが、南丹市園部町(旧:船井郡園部町)天引(あまびき)。この天引の集落内にあるR372とr54(府道園部能勢線)との交差点付近から分岐するのが天引峠旧道となる。R372天引道路の建設によって、集落内の道路は大きく変わってしまっているが、民家が軒を連ねる狭い2車線幅の道が旧道(旧街道)筋である。

 京都府から兵庫県に向かって進んで行くと、現R372は左方向にそれて行く。400mほど進むと現R372へ向かう連絡道路が分岐。この付近で集落も途切れる。天引峠旧道はここから峠越えの道として山中に向かって行くのだが、分岐点の旧道側にはゲートが設置されていた。鎖によ

るゲートで、道路のほぼ中央を塞いでいる。ポールの両端は開いているので、車は無理でもオフロードバイクでなら進入は可能な状態となっていた。ここから先は自己責任であることを認識しての進入となる。

 道はやや狭い感じのする2車線道。揺るやかな勾配の坂道で、周囲も開けており明るく見通しは良い。すぐ左下を現R372の快適な2車線道路が延びている。よく見られる山中の旧道とバイパスの光景だ。旧道となってから1年ほどしてから走行したのだが、この付近の路面はそう荒れてはいない。注意すべきなのは落ち葉や枯れ枝などが路面一面に散乱していることだけだろう。

 少し進むと急カーブを曲がって山間に入る。森中を通るようになると、落ち葉と枝の散乱がひどくなり始めた。さらに少し進むと、土砂崩れにより路面に土砂が進入していた。道幅の2/3は土砂で覆われている。復旧する気はないようで、そのまま放置されている。これもまた旧道でよく見られる光景だ。

 見通しの悪い急カーブが連続するようになり、急勾配の坂道を上って行く。峠に近付くにつれて路面状態は徐々に悪化して行き、2車線幅一面に落ち葉が散乱し始める。路面を慎重に見てゆっくりと進んで行く。

 天引集落から約1.7km走ると天引峠に到着する。2004年(平16年)10月20〜21日の台風23号による豪雨で峠付近は大荒れ状態となっていた。峠付近には倒木があり道路を塞いでいた。KSRUだったのでわずかな隙間を通ってクリア出来た。

台風が去ってから2ヶ月近く経過しても完全放置のままなので、このまま廃道になるのかも知れない。

1.園部町天引の集落内を行く旧道。生活道路と

  して余生を送っている。

2.集落の外れにある連絡道路の分岐点。

  ここにゲートが設置されていた。

3.ゲートを越えて先を進んで行く。緩やかな2車

  線坂道が続く。

4.峠から天引集落方向を見る。写真右下に現道

  が見える。現役道のようにも思える。

5.山中に入るとご覧の通り。土砂もそのままに

  放置されている。路面は荒れ始める。

6.峠に到着。ここから兵庫県に入る。峠付近は秋

  の台風被害で大荒れ状態。

   

7.2本の木が倒れて道を塞いでいた。

  (兵庫県→京都府方向を撮影)

   

■兵庫県側【兵庫県篠山市】

 峠を越えると兵庫県篠山市に入る。兵庫県側に入ると路面状態はかなりマシになる。兵庫県側は京都府側のような急カーブ・急坂が連続するような区間ではなく、見通しのよいやや急な2車線坂道が続く。路面状態は比較的良好で、一部区間では路面の舗装をやり直していた。

 峠から600mほど進むと天引TN西側(兵庫県側)抗口前に出た。ここが天引峠旧道兵庫県側分岐点となる。全長約2.3kmであった。兵庫県側分岐点となるTN西側抗口付近だが、TN建設工事で大きく姿を変えている。2004年12月時点で、旧道の道路整備工事行われていた。兵庫県側は整備して使用するつもりなのだろうか。

8.峠にあったR372国道標識。付近は自然に

  還りつつある。

9.もう一本存在する。ここからまともな道に戻る。

  (兵庫県→京都府方向を撮影)

10.兵庫県側の旧道は整備されている。山中を

  進むローカル道という感じの道。

11.ここを下ると現道に出る。旧道の姿はここか

  ら大きく姿を変える。

12.天引TN前で現道と合流。TN抗口上を行く

  のは連絡道路だろうか?

13.その連絡道路はここで分岐して旧道に向かう。

  (京都府→兵庫県方向を撮影)

<<MEMO>>

■概況

 走ったのは2004年(平16年)12月です。この年の10月下旬、台風23号の影響による豪雨により、北近畿一円では浸水や土砂崩れなどの災害が多発しました。天引峠付近も倒木や土砂流入などがありました。2ヶ月後に現地を訪れているのですが、旧道となった道は後回しのようでその時のまま放置されていました。現在はどうなっているのか、まだ現地を訪れていないので不明です。

 天引峠旧道ですが京都府側は通行止めとなっています。京都府内の旧国道はほとんどが通行止めとなっているので、それにならっての処置でしょうか。一方の兵庫県側は分岐点付近を整備していますが、兵庫県・京都府境の峠にある旧国道は通行止め(→廃道)となっているので、このまま通行止めになるのではないかと思います。実際のところ、現在どうなっているのかは不明です。機会があれば再取材してきます。

■アドバイス

 基本的に峠の旧道は通行止めのようなので、無理な進入はやめておきましょう。進入される場合は、『自己責任』となります。

■注意点

 大雨などの悪天候時は大変危険でなので訪れない方が無難でしょう。冬期は路面凍結・積雪があります。

●走行DATA

天引峠旧道

【京都府→兵庫県方向を走行】

>>走行日:2004年12月10日

【合併情報】

●2006年(平18年)1月1日付けで、京都府北桑田郡美山町、船井郡園部町、船井郡八木町、船井郡日吉町の4町が対等合併 して『南丹市』になりまし

 た。船井郡園部町は『南丹市園部町』になりました。

【国道372号線 天引峠旧道終わり】

>>国道372号線旧道 終わり

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