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国道9号線旧道(1)

春来峠旧道(兵庫県道r561)/蒲生峠旧道

●蒲生峠旧道

 蒲生峠は兵庫県美方郡新温泉町と鳥取県岩美郡岩美町の間にある標高約360mの峠。現在のR9は蒲生峠を蒲生TNで通過している。

 蒲生峠の旧道は1892年(明治25年)に整備された道路が前身。この道が1963年(昭38年)に自動車道路として整備され、1978年(昭53年)に蒲生トンネルの供用開始により旧道となった。

 なお、江戸時代の山陰道と明治時代初期の蒲生峠越えは別ルートとなる。

>>Update 2006.06.24

○国道9号線蒲生峠旧道

  【変遷】

 蒲生峠は兵庫県と鳥取県の県境となる峠。ここを越える蒲生峠越えの道は、鳥取藩が整備した山陰道の一部となっている。

古くは1580年(天正8年)、羽柴秀吉(→豊臣秀吉)が因幡攻めの際に通過したと言われる歴史のある峠道でもある。

 国道としての歴史は明治時代から始まる。山陰道がいわゆる明治国道として指定されたのは1885年(明治18年)のこと。当時は蒲生峠から岩美郡岩美町塩谷に向かうルート(塩谷・蒲生峠線)であった。その後の改良によって国道ルートは変更となり、蒲生峠〜蕪島〜洗井〜山ノ神〜塩谷という現在の旧道ルートになった。現旧道ルートとなったのは1892年(明治25年)。このルートの開通により峠は人力車・荷馬車の往来で賑わったそうだが、山陰線の開通によって寂れてしまった。

 このルートは、1920年(大正8年)に(大正)国道18号線として指定される。さらに戦後の195

2年(昭27年)12月に国道9号線となる。自動車交通の発達にともない、国道9号線も交通量が

増加。これに対応するため、蒲生峠越えの道路についても本格的に自動車が通れるように改良・

整備されることになり、1963年(昭38年)に整備された。現在の道路はこのときに整備された時

の道が元になっている。

 しかし道路が整備されても、急勾配の坂道と冬期の積雪などがネックとなり、年々増加する交通

量に対応することが出来なくなった。そこで1975年(昭50年)11月末にR9蒲生バイパスの建

設が開始。1978年(昭53年)12月に蒲生トンネルを含むR9蒲生バイパスが完成・供用開始となり、それまでの蒲生峠越えのルートは県道鳥取国府岩見線(r31)と県道千谷蕪島線(兵庫県道r565・鳥取県道r120)に降格された。なお、県道千谷蕪島線の県道番号は後に統一されて現在のr119となった。

○国道9号線蒲生峠旧道

【レポートは兵庫県新温泉町→鳥取県岩美町方向(兵庫県→鳥取県方向)です。】

■兵庫県美方郡新温泉町〜鳥取県岩美郡岩美町

 R9蒲生峠旧道の兵庫県側分岐点は、美方郡新温泉町(旧:美方郡温泉町)千谷の現R9蒲生TN兵庫県側(東側)抗口前となる。兵庫県から鳥取県に向かって左側に分岐するやや狭い2車線の坂道が旧道となる。旧道といっても、現役のr119(県道千谷蕪島線)という県道なのだがヘキサなどの標識はない。

 すぐに急勾配の2車線坂道を上り始める。少し進むと急カーブが現れる。さらに分岐点から1.5kmほど進むと連続してヘアピンカーブをクリアして峠に向かって上り続ける。現役国道時代、R9としては急勾配・急カーブが連続する難所であったことがよく分かる。センターラインのある狭い2車線道を進んで行く。ヘアピンカーブから1.2kmほど進むと県境である蒲生峠に到着する。

 峠を越えると鳥取県岩美郡岩美町に入り、道路も鳥取県道になる。峠からはポツポツと建物があり長閑な山間の風景が広がる。兵庫県側と比べると緩やかな勾配の2車線坂道を下って行く。峠から1.4kmほど進むと岩美町蕪島地区の集落に到着。

集落内を1kmほど進むと、r31(県道鳥取国府岩見線)との交差点に到着。ここがr119の終点となるが、r119のヘキサ標識は見あたらない。兵庫県側分岐点から約6.3kmである。

1.蒲生TN兵庫県側抗口前が旧道分岐点。

  左に向かう2車線道が県道である旧道。

2.峠の兵庫県側は急勾配の狭い2車線坂道が

  続く。見通しの悪いカーブが多い。

3.蒲生峠に到着。ここから鳥取県に入る。

  (鳥取県→兵庫県方向を撮影)

4.鳥取県側の勾配は少しは緩やか。急勾配に

  は変わりはない。

5.棚田を見ながらノンビリと進んで行く。

  (鳥取県→兵庫県方向を撮影)

6.岩美町蕪島の集落に到着。現役県道故か、路

  面は整備されている。

■鳥取県岩美郡岩美町【岩美町蕪島〜岩美町塩谷】

 岩美町蕪島からはr31となる。道は2車線道のまま。路面は整備されており走りやすい路面が続く。地方主要道区間なので整備されているのだが、蕪島から十王峠に向かうr31は1車線狭路のままだった。この差が一際目立つ。

 r31は岩美町の山間の農村集落を繋ぎながら進んで行く。やがて岩美町塩谷地区の集落内に入ると平坦な2車線道となり、やがて現R9との交差点に到着する。ここがR9旧道の鳥取県側分岐点となる。蕪島のr31交差点から約2.7km、兵庫県側の旧道分岐点から約6kmである。

7.ここからr31となる。左の狭い橋から来るのが

  r31。地方主要道とは思えない狭路だった。

8.岩美町塩谷地区まで来ると平坦な2車線道に

  なる。(鳥取県→兵庫県方向を撮影)

9.鳥取県側旧道分岐点に到着。右が旧道であ

  る。(鳥取県→兵庫県方向を撮影)

<<MEMO>>

■概況・交通量など

 旧道となっても全区間県道に降格されており、道路の整備は行われています。道路状態は良好で問題なく走ることが出来ます。

 完全に生活道路なっているので、走る車のほとんどは地区住民の方々の車だけです。交通量は少ないのですが、対向車には注意して下さい。

■アドバイス

 急勾配の坂道が続きます。自転車の場合は体力・時間などに余裕を持ってトライして下さい。

■注意点

 晩秋〜早春にかけては路面凍結・積雪があるので注意して下さい。

●走行DATA

蒲生峠旧道

【兵庫県→鳥取県方向を走行】

>>走行日:2004年6月13日

【合併情報】

●2005年(平17年)10月1日付けで、兵庫県美方郡温泉町と美方郡浜坂町の2町が対等合併して『美方郡新温泉町』になりました。

>>国道9号線旧道 終わり

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