■第四矢ノ川隧道〜林道八十谷線交差点 |
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荒れた1車線ダート道をトロトロと進んで行く。旧道入口から約4.8km進んだ所で、立派な造りのTNに到着した。第五矢ノ川隧道である。矢ノ川峠旧道の中では郡を抜いて長いTNで、全長は106.8mもあるとか。内部は照明設備は一切設置されておらず暗い。尾鷲側抗口から見ると少し先に熊野市側抗口が見えるが、出てすぐのところが左カーブになっているので道がないように見える。 内部の路面はかなり荒れていた。落盤はしていないものの、路面は石が転がり大きな水溜まりが出来ている。バイクのライトだけを頼りに水溜まりを避けながらゆっくりと進む。内部はかなりヒンヤリとしており、霧のようなものが漂っているように思えた。 第五矢ノ川隧道を抜けると、ゆるやかな左カーブを曲がり林道八十谷線との交差点に到着した。矢ノ川峠旧道尾鷲側入口より約5kmであった。 |
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■林道八十谷線交差点〜アンテナ管理道分岐点 |
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第五矢ノ川隧道熊野市側抗口出てすぐの所にある林道八十谷線との交差点付近が、矢ノ川峠の「明治新道」と「昭和新道」との交差点となる。ここから八十谷林道に向かうと「明治新道」の跡があるのかもしれない。取材時はそんなことは全く知らなかったので調べていない。再び訪れる機会があれば調べてみるつもりだ。 さて矢ノ川峠旧道だが、この交差点を左側に進んで行くのが正解となる。旧道入口にあったのと同じオレンジ色の看板があるので迷うことはないだろう。交差点を過ぎると、旧道はループ(左カーブ)を描きながら急勾配の坂道で標高を上げてゆく。この付近はループ構造となっており、ループを描きながら標高を上げながら進み第五矢ノ川隧道の上を通って行くのだ。「昭和新道」が「明治新道」の北側よりアプローチしてきたためだ。つまりは八十谷林道交差点から峠までの間は、1880年(明治13年)に完成した「明治新道」を拡張して使用されている道となる。かれこれ1 30年近い歴史を持つ道ということだ。 だからと言って特別な道ではなく、ここまでと同じく完全1車線幅の荒れたダート道が続く。路面には大きな石がむき出しになっていたりする。よほど注意して進まないとどんでもない目に遭ってしまいかねない。1kmほど進むと路面中央に草が生えている砂利ダートとなり走りやすくなり、ほどなくしてアスファルト舗装の路面になった。舗装道は左へカーブを描くのだが、その道はNTTかどこかの会社の携帯電話かテレビの中継アンテナへ続く管理用道路。入口はゲートが設置され一般車は通行不可能だった。矢ノ川峠旧道はカーブの途中から分岐しているダート狭路である。 |
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■アンテナ管理道分岐点〜矢ノ川峠 |
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舗装路から再びダート狭路となる。しばらくは緩やかな勾配の坂道が続くが、やがて路面は大きな石が転がる荒れた路面となり勾配も急になる。かなり急な箇所では舗装路となっているが、轍の部分以外には落ち葉と小石が積もり転けも生えている。雰囲気から察すると、現役国道時代に舗装された路面だろうか? 舗装路はすぐに途切れてまたもや石が転がるダート道になる。固くしまった路面なのでそう心配することなく走ることが出来る。道は完全1車線のまま深い山中をひたすら進む。同じような風景の中を進むので疲れてくる。 山の斜面が崩れて落石が転がっていたり、路面にコケが生えている区間などを通過して進む。最後の急勾配区間を登ると、4WD 車が停まっている広場に到着した。矢ノ川峠である。旧道入口から約10km、林道八十谷林道分岐点から約5kmであった。 |
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■矢ノ川峠 |
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矢ノ川峠は広場になっている。昔はここに茶屋があり、国鉄連絡バスや峠を越えるトラックなどはここで一休憩していったとか。現在では茶屋の痕跡だけが残る。 峠からの晴れた日の眺めはすばらしく、条件さえ整えば富士山も見える そうだ。残念ながら 2001年6月に訪れた時は、矢ノ川峠は雲の中で一帯は濃い霧の中で何も見えなかった。 さて矢ノ川峠から先、熊野市側方面であるが先述の通り通行不可能となっており進むことは出来ない。『これより先、道路欠壊のため熊野市方面への通り抜けはできません』という通行止めの看板が立っている。 しかしゲートなどは設置されておらず進入は可能。峠から先へは1.5車線幅の ダート狭路が続いている。濃い霧の中で先があまり良く見えなかったが、30mほど先からは草木が生えて自然に戻っているようにも見える。どうやら矢ノ川峠の熊野市側は自然に還ってしまっているようだ。 |
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<<MEMO>> |
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■概況・交通量など 矢ノ川峠のR42旧道は、峠よりも熊野市側の区間で道路崩壊が発生したため通り抜けは不可能になっています。復旧工事は行われていないようなので、矢ノ川峠〜熊野市側旧道分岐点間は廃道になったようです。すでに現R42の矢ノ川TN他のBPが完成・供用開始されているので、大金を注ぎ込んで危険な旧道を復旧させる必要はないのでしょう。 熊野市側の通行止め区間入口には警告看板がありますがゲートは設置されておらず、容易に進入可能となっています。ただし道は道路崩壊地点に近づくにつれて荒れて行くようです。道の状態が不明なので、進入しないほうが得策だと思われます。 尾鷲市側分岐点〜矢ノ川峠の区間は、高峰山登山口にもなっているために整備されています。また矢ノ川峠の北側にはNHK中継局が、南側にはNTTの中継局らしき建物があり、これらの整備のためにも道は整備されているので、矢ノ川峠まではどうにか走ることが出来ます。 矢ノ川峠から先の区間は、一見走行可能な道のように見えますが、途中で橋が崩落しているらしく通り抜けは出来ません。バイク・車で進入しても引き返すことが出来ない可能性が高いので、峠から先へ進入しない方が良いでしょう。徒歩でも大変危険ですので峠で引き返しましょう。 私が走った日は、峠では霧が発生して視界が悪く、進むどころか引き返すのも危険な状態になりつつあったので早々に引き返しています。晴れていたらもう少し進んでいたかも知れませんが、1人では絶対に進まないでしょうな。というより旧道自体を走っていないでしょう。(^^;) KSRUでは大変つらい旧道でした。 ■アドバイス 整備されているとはいえ、道路状態は本文にもあったとおり、完全1車線幅の石が転がっているダート道でオンロードバイクや4WD以外の車での走行は不可能です。かなり荒れた道なのでそれなりの運転経験も必要なので、バイクと車の運転初心者は1人で走ってはいけません。 矢ノ川峠には天候と風向きによっては雲がかかるようで、霧が出て視界数mとなることもあり非常に危険です。また悪天候時(特に雨の時)も非常に危険な道となります。冬期も路面凍結・積雪が十分あり得る道です。悪天候時や冬期間は、無理して走ると二度と帰れなくなるかも知れませんので、走らない方がいいでしょう。 走る場合は2人以上で走ることをお勧めします。また『危険』だと判断したら、いつでも引き返すことが出来る体制で向かって下さい。 >>参考までに、2001年6月17日のときの天候を書いておきます。 矢ノ川峠旧道熊野市側入り口付近:晴れ→矢ノ川峠旧道尾鷲市側入口付近:くもり→矢ノ川峠:くもりで霧が発生。視界10m以下。 ■注意点 旧道は高峰山への登山口ということですが、走った時はハイカーの姿は見かけませんでした。シーズン中は歩いている人がいるかも知れません。矢ノ川峠までは4WD 車などの車で登る人も結構いるようです。また峠にはアマチュア無線の人達も車でやって来ます。 旧道としては意外と交通量はあるようです。私が走った時は、4WD 車2台と地元のおっちゃんが乗る原チャリ1台とすれ違いました。ブラインドカーブも多いので、狭路区間、特にトンネルでは対向車に注意して下さい。 5つあるトンネル(うち3つは素堀TN)は1936年(昭11年)頃に相次いで完成しました。1つを除いてTN内部は水溜まりもある荒れたダートで、照明もないために路面には十分注意して走って下さい。旧道のTNらしく内部の雰囲気は独特です。 |
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●走行DATA |
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R42矢ノ川峠旧道(尾鷲市側) 【往復走行】 >>走行日:2001年6月17日 |
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取材協力(同行走行) 川合さん せいうちさん |
>>国道42号線矢ノ川峠旧道 終わり |
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>>R42旧道TOP |