国道361号線旧道(3) |
■権兵衛峠旧道(3) |
○国道361号線権兵衛峠旧道 【2006年走行レポート】 |
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3回目の権兵衛峠訪問となったのは2006年(平18年)10月22日のこと。R361権兵衛峠道路が供用開始となった後のことで、すでに権兵衛峠を越えるルートが旧道となって久しい頃でした。 塩尻市(旧:木曽郡楢川村)奈良井より権兵衛峠に向かって走行していますが、峠から先の伊那市側では、R361(経ヶ岳林道)が災害で通行止めとなっていたため、峠の少し先にあった展望台で折り返しています。 |
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【レポートは塩尻市奈良井 羽渕→権兵衛峠方向(木曽→伊那方向)です。】 |
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■長野県塩尻市【塩尻市大字奈良井羽渕】 |
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R19からR361に入り姥神トンネルを抜けるとr493(県道姥神奈良井線)との交差点に到着する。この交差点がR361権兵衛峠旧道への入口となる。”分岐点”ではなく”入口”と書いたのは、この交差点から分岐する道はR361旧道ではないからだ。 分岐する道を少し走らないとR361旧道に入ることができないのである。 なぜこのような状態になっているのか?答えは簡単で、長野県塩尻市(旧:木曽郡楢川村)内にR361権兵衛峠旧道と現R36 1(R361姥神峠道路ならびに権兵衛峠道路)との交差点は存在しないからである。広く見ると、木曽郡木曽町日義(旧:木曽郡日義村)神谷のR361姥神峠旧道分岐点から、長野県伊那市与地のR361権兵衛峠旧道分岐点までの間には、R361旧道と現R361との道路同士の交差点は存在しないからだ。 塩尻市羽渕〜権兵衛峠間のR361権兵衛峠旧道が現役時代の頃は、車両通行可能区間の両端ともR361ならびに他国道と接しないという特異な状態であった。現R361が旧道とは接続せずに全くの別ルートで建設された結果、同区間の旧道は現R361と接しないと言う珍しい状態になってしまったのだ。 地図上では交差しているが、実際は旧道が現R361をアンダーパスしているので、”道路同士が交わる”交差点というものは存在していないのが現状である。 |
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R361姥神峠道路とr493との交差点を右折して狭い2車線道に入る。奈良井川に沿う平坦な道を250mほど進むと、R361姥神峠旧道との交差点に到着。ここからR361権兵衛峠旧道が始まる。 ちなみに以前は姥神峠旧道交差点付近までが県道指定されていたのだが、以前立っていたr493ヘキサ標識がなくなっているところを見ると県道指定を解除されたようだ。 R361姥神峠道路の開通により、県道区間は国道交差点までとなったようで、そこより先の末端区間は県道の指定を解除されたのだろう。現R361からR361旧道に入るのは”元”県道(現市道か?)を走らねばならないようだ。 |
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◆2006年10月22日走行。写真はすべて同じ日に撮影。 |
■長野県塩尻市【塩尻市奈良井】 |
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奈良井川を渡った所にあったR361国道標識は撤去されていた。そこを過ぎると道は1.5〜狭い2車線のまま谷間へと入る。旧道となってから手入れがされていないのか、路肩には落ち葉が積もり草木の浸食の気配も見受けられる。 見通しの悪いカーブをいくつか曲がる。少し進むと道は整備された2車線道になった。現R361建設にあわせて整備されたのだろう。2002年9月以来、約4年ぶりに訪れたが風景はさらに大きく変わっていた。 すぐに地図上では最初の交点となる地点に到着する。道路同士の交差点はなく、旧道が現R361をアンダーパスしている。現R361をくぐると道路の北側に出た。そのまましばらくは現R361と併走して進む。建設中の光景から、一旦ここで現道と旧道が合流するものだと思っていたのだがそのようにはならなかった。現R361の高規格道路が2mほど高い位置を通るようになり、旧道は側道のように併走するようになっていた。 旧道はウネウネしながらも現R361とほぼ併走して進む。道路は一部拡幅・整備されて2車線幅になっている場所もあった。やがてR361姥神道路の番所TN付近から、奈良井川沿いに進むようになり現R361から離れる。すると以前の通り、谷間を走る1.5〜狭い2車線幅の平坦な道となり、ウネウネと川沿いに進んで行くようになる。路肩には落ち葉が積もり、路面もあちこちでひび割れていたりするなど、いきなり状態は悪くなり、”旧道”らしい道になった。 しばらく走ると再びR361姥神道路をアンダーパスして、現R361の南側に出ると整備された2車線道となり、ほどなくしてR361権兵衛峠道路との連絡道路との交差点に到着する。r493交差点から約3kmである。 |
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◆2006年10月22日走行。写真はすべて同じ日に撮影。 |
■長野県塩尻市【塩尻市奈良井〜塩尻市畳ヶ平】 |
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権兵衛トンネル木曽側(西側)抗口付近は、トンネルと道路の建設がらみで大きく変わっていた。旧道自体は整備された2車線道になり、奈良井川に沿って進んでいる。そのすぐ脇をR361権兵衛峠道路の高規格道路が通っている。これだけ大きく変わると、以前の状態が全く分からない。かつての国道 を拡幅整備したのか、それとも廃道・付け替えとなり今のルートになったのかが不明である。2002年9月に走った時は権兵衛トンネルの工事現場を見ていないので、廃道→付け替えられたような気がしないでもない。 権兵衛トンネル木曽側(西側)抗口付近を過ぎてしばらく行くと、R361権兵衛峠旧道は以前の姿を取り戻す。センターラインのない2車線道となり、静かな山間を進んで行く。奈良井川に沿って進むダート道が分岐する付近からは坂道となり、徐々に標高を上げて行く。少し進むと2車線幅のヘアピンカーブが現れ、以後急坂・急カーブが連続する区間に入る。 権兵衛峠道路との連絡道から先の旧道は、整備されているようで路面状態は良い。落ち葉もなくまた草木の浸食も少ない。ただカーブなどには黒々としたタイヤ痕が残っている。晩になると走り屋が来るようだ。所々にはバースとしたタイヤが無造作に不法投棄されている。道幅が良く走りやすい道が旧道になり交通量が激減すると、決まってこういう連中が走り出すようになるのは困ったものだ。産廃などの不法投棄がないとも言えない。そのうち夜間通行止めになるかも知れない。 いくつかのカーブをクリアして、やがて見覚えのある冬期閉鎖ゲートに到着する。ここにあったR361国道標識も撤去されていた。 |
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◆2006年10月22日走行。写真はすべて同じ日に撮影。 |
■長野県塩尻市【塩尻市畳ヶ平〜権兵衛峠】 |
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冬期閉鎖ゲートを過ぎると道幅は狭くなり、見通しの悪い1.5〜狭い2車線幅が断続するようになる。勾配のある坂道が延々と続く 。最初の頃は比較的緩やかだが、徐々に勾配はきつくなる。また見通しの悪い小刻みなカーブも増え始める。やがて急カーブ・急勾配の坂道が続く山道となる。旧道にはなったが路面状態は良好で、比較的走りやすい狭路坂道を進んで行く。現役時代とそう変わりない路面状態だ。 そして最後の左カーブを曲がり、急坂を上ると権兵衛峠に到着する。r493交差点から約9kmである。峠近くにあったR361国道標識は、他の標識同様撤去されていた。 |
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◆2006年10月22日走行。写真はすべて同じ日に撮影。 |
■長野県上伊那郡南箕輪村【権兵衛峠〜通行止め地点】 |
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権兵衛峠を過ぎると、R361経ヶ岳林道区間に入る。正式な国道ではなく、車両通行不能な登山道区間の代わりに暫定的に国道に指定された区間だ。林道区間に入ると、路面状態はいきなり悪化する。道1〜1.5車線の狭路となるが、路肩から草木が浸食してきているためさらに車幅が狭くなっている。路面は舗装されてはいるが、一部では亀裂が入り落石なども転がっている。 見通しの悪い区間が続き、路面と対向車に注意して進んで行く。しばらく進むと、道は緩やかな坂道となる。そして権兵衛峠の標識から1kmほど進むと展望台に到着した。 ここから先は1車線狭路の続く舗装林道区間となるのだが、2004年(平16年)以来、災害復旧工事により全面通行止めとなっており、この地点で引き返さなくてはならなかった。権兵衛峠旧道の調査走行はここまでとなった。 |
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<<経ヶ岳林道通行止め>> 2004年(平16年)秋の相次ぐ台風により、R361経ヶ岳林道区間では至るところで山崩れや路肩崩壊が発生。以来、通行止めとなっています。道路復旧とともに治山工事も行う必要があり、また冬期は工事ができないため、工事は長期期間に及びました。R361権兵衛峠道路開通まで、木曽〜伊那間は通り抜け不可能な状態になっていたことになります。 R361権兵衛峠道路開通後も林道の復旧工事が行われていましたが、2006年(平18年)7月の豪雨により、新たな災害が発生。経ヶ岳林道はあちこちで道路崩壊・土砂崩れにより寸断。新たな災害場所の復旧工事により、通行止め期間は2007年初夏頃まで延期となりました。 なお、長野県伊那建設事務所のサイトによると、2007年7月3日時点で、開通日時は未定となっています。 |
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◆2006年10月22日走行。写真はすべて同じ日に撮影。 |
■長野県伊那市【伊那市西箕輪】 |
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R361経ヶ岳林道が通行止めだったので来た道を下り、R361権兵衛峠道路で伊那市与地に移動する。r203(県道与地辰野線)との交差点に到着。ここから登山道の始まる端点までのR361権兵衛峠旧道が分岐する。 r203交差点からは1車線狭路が分岐していたのだが、いつの間にやら拡幅・整備されて走りやすい2車線道に生まれ変わっていた。2002年(平14年)9月訪問時には、『国道361号線 3km先 通行不能』という標識が立っていたのだが、国道指定を解除されたようで、標識は撤去されていた。 交差点付近の撮影をほどほどにしてから、r203に入り伊那市羽広のR361暫定国道区間の始点に移動する。西箕輪の町中からr203を進むとほどなくして森の中に入り、自然公園近くにある交差点に到着。ここが暫定国道の始点となる。r203側に設置された案内標識にあったR361の文字は消されていたが、R361国道標識は残っていた。暫定国道区間はまだ国道指定を解除されていないようだ。 センターラインのある狭い2車線道に入り、そのまま峠方面に向かう。森中を抜けると町中を走るようになる。勾配のある坂道となった暫定国道を600mほど進むと、「みはらしファーム」という農業公園に到着する。この農業公園を過ぎると経ヶ岳林道区間に入るのだが、通行止めとなっていることなので農業公園付近で引き返している。 |
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◆2006年10月22日走行。写真はすべて同じ日に撮影。 |
<<MEMO>> |
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■概況・交通量など 権兵衛峠より西側(伊那側)のR361経ヶ岳林道区間が通行止めなので、走行は権兵衛峠までとなっています。国道指定についてはr493交差点〜権兵衛峠までの区間が解除され、峠より西側はまだ暫定国道として指定されているようです。 R361権兵衛峠旧道ですが、権兵衛峠へのアクセス道路として利用されており道路自体は整備されています。峠にある展望台に向かう観光客や権兵衛街道を歩くハイカーも多いようで、休日は車の通行が多いようです。2006年走行時、途中の空き地に大型観光バスが4台ほど駐車していたのには驚きました。イベントで観光バスをチャーターしてやってきたのでしょう。観光バスも走る旧道です。 交通量が多いのは、連絡道路交点〜権兵衛峠までの間だけです。r493交差点〜連絡道路交点付近までは交通量の少ない旧道らしい道となっています。 本文中にも書きましたが、夜間は走り屋の独擅場となるようです。急カーブには黒々とタイヤ痕が残り、バースとしたタイヤが不法投棄されていました。走った時は事故か故障したスカイラインが1台止まっていました。あとで回収されたと思いますが、結構無茶な走行をしているようです。そのうちゲートが設置されて、夜間走行禁止となるでしょう。困ったものです。 R361経ヶ岳林道区間は、全面通行止めだったので走っていません。また伊那市側のR361権兵衛峠旧道端点までの区間は、時間の都合で走っていません。2002年に続いて走行を断念しています。いずれ機会があれば訪れます。 ■アドバイス 見通しの悪い区間が続くので対向車に注意して下さい。初心者は2人以上で行かれることをお勧めします。 ■注意点 大雨の時は、土砂崩れが発生する恐れがあります。悪天候時は走らない方が無難です。 冬期は路面凍結・積雪のため12月中旬〜翌年4月中旬の間は全面通行止めとなります。迂回路はありません。早春・晩秋は路面凍結・積雪があるので注意して下さい。 |
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●走行DATA |
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長野県塩尻市奈良井〜権兵衛峠 【 往復走行】 >>走行日:2006年10月22日 |
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伊那市西箕輪(r203交差点〜みはらしファーム付近) 【 往復走行】 >>走行日:2006年10月22日 |
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【合併情報】 ●2005年(平17年)4月1日付で 、長野県木曽郡楢川村が長野県塩尻市に編入。『長野県塩尻市』になりました。 ●2005年(平17年)11月1日付けで、長野県木曽郡木曽福島町、日義村、開田村、三岳村の3村1町が対等合併して『長野県木曽郡木曽町』になりまし た。日義村、開田村、三岳村はそれぞれ『木曽町日義』『木曽町開田高原』『木曽町三岳』になりました。 |
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【R361権兵衛峠旧道終わり】 |
>>国道361号線旧道【終わり】 |
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