国道166号線旧道(4) |
■高見峠旧道 |
○国道166号線高見峠旧道 【2009年走行レポート】 |
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平成20年(2008年)10月に高見峠旧道を走るべく現地に来たものの、連絡道路分岐点から先が通行止めになっていたためやむ得ず撤収した。10月下旬〜11月上旬までに再走行するべく計画を練ったが、結局行く機会がないまま季節は冬となり、平20年中の再走行を断念した。 平21年(2009年)5月、佐倉峠旧道調査のためR166方面を走行。すぐ近くということで高見峠旧道も走行することにした。今回は事前に吉野郡東吉野村木津の町中にある駐在所に立ち寄って情報収集することにした。駐在さんの話では通行可能で、「通行止」のゲートはあるものの脇に避けられ皆走っているという。駐在さんもパトロールのため何度も高見峠まで上がっており、通行止めになっていないとのこと。 どうやら通行止めの看板などは撤去し忘れているようで、実際は通行可能になっていると判断。KSRUにて高見峠旧道走行に向かった。 |
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【レポートは奈良県→三重県方向(西→東方向)です。】 |
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■奈良県吉野郡東吉野村【奈良県側旧道分岐点〜連絡道路分岐点】 |
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奈良県吉野郡東吉野村杉谷地区を過ぎて三重県方面に向かう。急カーブ・急勾配の坂道が連続する2車線ワインディング道路を2kmほど進んだ付近で、左カーブの途中から右に分岐する狭路がある。『←伊勢・松坂 高見峠→』と表記された案内標識 が設置されているのだが、この狭路が高見峠旧道となる。 旧道は1〜1.5車線幅の狭路坂道で、見通しの悪い小刻みなカーブを繰り返しながら進んで行く。路面はアスファルト舗装されてはいるが、路面状態はあまり良くない。落ち葉・枯れ枝はもちろんのこと、落石もあちこちに見受けられる。場所によっては 雨が降ると山の斜面から流れ出した雨水によって道路自体が川と化してしまうようで、路面にはかなり広範囲に渡って土砂が堆積している場所もあった。 奈良県側旧道分岐点から600mほどで、R166の高見トンネル西口(奈良県側抗口)前に下る連絡道路分岐点に到着する。 分岐点の旧道入口には『通行止』の表記がある。路肩左側にある道路情報板にも『林道分岐点(小峠)〜大峠の間落石 通行止』と記されていた。昨年10月はこの表記を見て峠に向かうことを断念したのだが、今回は東吉野村木津の駐在所で通行可能であることを確認して来たので、そのまま峠に向かって走ることにした。 |
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■奈良県吉野郡東吉野村【連絡道路分岐点〜高見峠】 |
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連絡道路分岐点を右に向かうと概ね1.5車線幅の狭路坂道となって峠に向かって進んで行く。相変わらず見通しの悪い小刻みなカーブが続く。道路自体は昭和28年(1953年)7月の道路開通にあわせて建設(開削)された道路で、その後拡幅・整備が行われて今の道幅になったのだろう。道幅はもともと狭い2車線幅ぐらいあったようだが、路肩に土砂が積もり草が生えたために道幅が狭くなったように思える。もともとは車同士が離合できるぐらいの道幅があったようだ。 連絡道路分岐点から700mほど進むと『癇J(すぎたに)隧道』に到着する。狭い2車線幅の約120mぐらいの長さのトンネルで、内部は照明などなく真っ暗で漏水が激しい。 高見峠越えの道路建設時に作られたトンネルで、当時のトンネルの典型的な形をしている。 癇J隧道(杉谷隧道)を過ぎると緩やかな勾配の狭路坂道となって杉林の中を淡々と進んで行く。この付近まで来ると落石などは少なくなり、路面状態は幾分良くなる。隧道から500mほど進むと急カーブ が現れる。この急カーブを曲がると急勾配の坂道となり、一気に峠に向かって標高を上げる。狭い2車線ほどの道幅があり、路面には落ち葉などはなく、走りやすい路面だ。 左下に先ほど走っていた道路を見下ろしながら進むが、やがて見えなくなりいくつかの急カーブを曲がって山中へと入って行き、 薄ぐらい杉林の中を進んで行く ようになった。 連絡道路分岐点から1.6kmほど進むとヘアピンカーブが現れ 、ここからは急勾配・急カーブが連続する区間に入り、見通しの悪いカーブをいくつかクリアして進んで行くことになる。 連絡道路分岐点から約2kmで小峠に向かうダート林道分岐点に到着。ダート林道入口にはゲートが設置されており進入不可能となっている。分岐点を右に向かうと『通行止』と書かれた看板と柵が放置されていた。場所は広く、2車線ぐらいの道幅がある。柵を越えて先を進むが落石や路肩決壊といったものは見られず、100mほどで再び『通行止』と書かれた看板と柵が放置されていた。通行止め区間は100mほどの距離で、この間に何かがあったのだろう。復旧工事はすでに終わっているようなので、単に柵を撤去し忘れているだけなのだろうか。 小峠への林道分岐点から先は緩やかな勾配の狭路となり、背丈の低い杉林の中を進むようになる。やがて急カーブを曲がり200mほど進むと、奈良県と三重県の境の峠 となる高見峠に到着する。奈良県側旧道分岐点より約4.5kmである。 |
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■高見峠 |
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2003年走行レポートにも書いてあるが、現在の高見峠は車道建設によって出来た新峠 となる。和歌山街道(伊勢街道)時代の高見峠(旧峠)は現峠よりも30mほど高い位置にある。高見峠(旧峠)は”大峠(おとげ)”ともよばれ、これに対して”小峠(ことげ)”と呼ばれるもう一つの低い峠が東吉野村内にあるが、そちらへの林道は車両通行止めとなっているので徒歩でしか行くことが出来ない。 現在の高見峠一帯は切り開かれた広場のようになっており、休憩所とトイレ(但し汲み取り式)と駐車場が設けられている。高見山への登山口にも当たるため、シーズン中の土日祝日は登山客の車で賑わう そうだ。そのため峠付近は整備されている。 |
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■三重県松阪市飯高町【高見峠〜連絡道路分岐点】 |
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高見峠を越えると三重県 松阪市飯高町(旧:飯南郡飯高町)に入る。三重県に入っても旧道は1〜1.5車線幅が断続する狭路のままで 、山の陰に入るので鬱蒼として薄暗い場所を通ることになる。峠から100mほど下ると飯高町舟戸に下る江戸時代の和歌山街道(高見越伊勢街道)が分岐する。峠からここまでの間は旧街道と重複していることなる。 旧街道分岐点からも1.5車線幅の狭路坂道を下って行く。路面状態はあまり良くなく、奈良県側に比べると 明らかに荒れていることが分かる。落ち葉や土砂が積もっているのはもちろんのこと、落石があちこちに転がっている。また路面もあちこちでひび割れたり剥がれていたりする。途中には道路の半分が土砂に埋まり、その場所を小さな川が流れている場所すらあった。自然環境や気象条件が厳しいことの現れだろう。 やがて展望の良い場所に出た。間伐か治山工事のためか、旧道より下の斜面の木々が軒並み切り取られ、ダートの作業道が設けられていた。峠以来の展望場所である。作業が終わるまでの期間限定的な展望所なのかも知れない。その先は再び鬱蒼とした杉林の中を進んで行くことになる。道は相変わらず狭路のままで、見通しの悪いカーブが連続する。国土交通省の雨量測定所を通り抜けると急カーブに至る。カーブの出口付近からは「木梶三の滝」へ向かう遊歩道が分岐していた。 このカーブを過ぎても、相変わらず鬱蒼とした杉林の中を進んで行く。1.5車線幅の狭路坂道で、路面状態の悪い見通しが悪いカーブが連続する。 山側には落石や土砂が積もり、谷側にはガードレールが設置されていない所もあるなど道端に注意を要する区間を進んで行く。 しばらく進むと、右下に狭路の舗装路が見えてくる。高見トンネル東口(三重県側抗口)前にあるパーキング付近から延びてくる連絡道路だ。ほどなくして連絡道路との合流点に到着する。高見峠から約5kmである。 |
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■三重県松阪市飯高町【連絡道路分岐点〜三重県側旧道分岐点】 |
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連絡道路分岐点を過ぎてからも、旧道は1〜1.5車線幅の狭路で杉林の中を進んで行く。 この付近まで下ってくると、ガードレールの端に貼られている「国道166号線ステッカー」をちらほらと見かけるようになった。国道時代の名残が残っているのだ。 鬱蒼とした杉林の中を進んで行く。路面状態は相変わらず悪い状態が続くが、峠近くの路面と比べればかなり走りやすくはなっている。連絡道路分岐点から1.5kmほど進むと杉林から抜け出す。そして200mほど進むと、やっと人里に下りてきた。ほどなくして人家が現れ、長かった峠越え区間が終わったことを告げる。 実際のところ、奈良県側の集落は吉野郡東吉野村杉谷地区が最後であるので、現旧道が国道時代だった頃は15km近い間を人家のない狭路山道を淡々と進んでいたことになる。今のように舗装路ではなくダート道で、今よりも路面状態は悪かったはずなので、まさしく極悪路であったことが想像できる。 飯高町木梶の集落に至り、旧道沿いにポツポツと建つ民家前(というより民家下と書いた方が正しいかも)を過ぎて行く。やがて右下に整備された2車線道が見えてくる。R166現道である。やがて大きなS字カーブを曲がると、三重県側の旧道分岐点に到着する。高見峠から約7.5km、奈良県側旧道分岐点から約12kmである。 |
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<<写真はすべて2009年5月撮影>> |
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◆2009年レポート終わり |
<<MEMO>> |
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■概況・交通量など 全長約12kmもある旧道です。走行可能な旧道としては長い部類に入ります。 旧道となってかなり経ちますが、高見山への登山口の一つである高見峠へのアクセス道路として走行可能な状態に整備されています。全区間アスファルト舗装ですが、落ち葉や落石が至る所に見られ、また大雨の後などは「川」と化している区間もあるようで、走行は要注意です。 土日・祝日や盆休みなどは高見山への登山者やハイカーなどの車が走ります。この手の山道では、普段街中しか走らないドライバーが 滅茶苦茶な運転をしている場合があるので、ブラインドカーブでは対向車に要注意です。逆に平日はほとんど車とは出合いません。 ■ガソリンスタンド 旧道区間中にはGSはもちろん民家も公衆電話もありません。携帯電話の電波も入りません。(方角や位置によってはわずかに電波を拾いますが・・・) 道路以外の 公共施設といえば、高見峠にある汲み取り式の公衆便所ぐらいです。 最寄りのGSは、奈良県側は東吉野村木津地区の木津トンネル東口を出た所にあるGS、三重県側は飯高町森地区にあるGSとなります。共にR166現道沿いにあります。旧道を走られる場合は、必ずガソリンチェックをして下さい。 ■アドバイス >>徒歩・自転車 急勾配の坂道が続くので時間・体力・気力すべてが必要です。三重県側にはかつての和歌山街道(高見越伊勢街道)の道筋が、そのまま登山道として活用されており、飯高町舟戸と高見峠を行き来するハイカーの姿も見受けられます。 旧道内には自販機もないので、東吉野村杉谷地区か飯高町渡瀬地区で飲み物や食料は購入しておきましょう。なお、旧道区間内は途中の広場や峠もキャンプ禁止となっています。 >>バイク・車 運転初心者の方は2人以上で行かれることをお勧めします。どちらの側から走り始めても途中で連絡道路に抜けることができますので、連絡道路の分岐点までの間で無理だと感じた場合は、連絡道路経由でR166現道に戻られた方が無難です。 バイクの場合、大型バイクでも通行可能です。ただ小刻みなカーブが連続するので疲れます。路面も落ち葉などで滑りやすいので注意して下さい。 旧道は見通しの悪いカーブが連続します。また谷側にはガードレールのない区間も多いので、対向車・対向車との離合は要注意です。 ■注意点 悪天候時・大雨の時、道は「川」と化しているようです。地質がもろいために土砂崩れや落石も多く、通行止めになることもしばしばあります。悪天候時・大雨の時は走ってはいけません。何かあっても助けは すぐに来ません。 冬期は路面凍結・積雪があります。冬期は通行止めかも知れません 。晩秋〜早春の高見峠旧道は走らない方が無難です。 標高が高いために、バイパスである高見トンネルでさえも冬期はトンネル内の路面が凍結する場合があり、またトンネル前後の区間では積雪もあり、何も知らずにノーマルタイヤで来たドライバーが立ち往生している姿をたまに見かるという話を聞いたことがあります。バイパス道路であるR166現道ですらそういう状態なので、旧道はさらに状態は悪いと思った方がよいでしょう。晩秋や早春でもタイヤチェーンなどは必携でしょう。バイクでは走らない方が無難です。 役場や観光案内所、警察などで道路状態を確認してから走行されることをお勧めします。 |
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●走行DATA |
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高見峠旧道 【奈良県→三重県方向を走行】 >>走行日:1995年6月24日/2000年3月18日/03年7月17日/ 2008年10月9日/09年5月14日 |
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【合併情報】 ●2005年(平17年)1月1日付けで、一志郡嬉野町、一志郡三雲町、飯南郡飯南町、飯南郡飯高町の5町が三重県松阪市と対等合併して『三重県松阪 市』になりました。 このうち飯南町と飯高町は、それぞれ『松阪市飯南町』『松阪市飯高町』となりました。 |
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【高見峠旧道終わり】 |