国道168号線旧道

 

●概況

 国道168号線は大阪府枚方市と和歌山県新宮市を結ぶ紀伊半島縦断国

道。1953年(昭28年)の誕生からかれこれ50年ほど経過している。

 紀伊半島の山深い所を行く3ケタ国道で、ダム建設や道路改良工事などで旧道があちこちに残っている。走行可能な旧道が比較的多く残っている。 

●取材DATA

>>走行日:各項参照

>>走行方向:各項参照

>>レポート記述方向:各項参照

 

●国道168号線 履歴

 1953年(昭28年)5月18日:和歌山県新宮市〜奈良県大和高田市間の国道として誕生。

 1982年(昭57年)4月1日:奈良県大和高田市〜大阪府枚方市を延長し、和歌山県新宮市〜大阪府枚方市間の国道となる。

 現在に至る。

●変遷・沿革

>>西熊野街道〜県道五條本宮線

 国道168号線の先祖となるのは「西熊野街道(十津川街道)」となる 。江戸時代の西熊野街道は奈良県五條市から丹生川に沿って南下し、天辻峠を越えてからは十津川に沿って南下していた。こう書くと現在の国道168号線とルートがほぼ重なっているように思えるが、実際は現在の奈良県吉野郡十津川村川津で十津川から離れて南西に向かい三浦峠を越え、西川の谷沿いに南下して果無山脈を越えて本宮に至っていた。厳密に言えば、十津川村川津までが西熊野街道ということになるのだろう。

 西熊野街道(十津川街道)は五條市と十津川村を結ぶ幹線道路であることから、明治時代末期の1907年(明治40年)より道の整備が開始されることになる。整備は奈良県五條市側から開始された。新道(車道)を丹生川左岸を通ずるように建設するという難工事であったが、少しづつ道路は南進し、1912年

(明治45年)に吉野郡西吉野村(現:五條市西吉野町)和田までが開通。1920年(大正9年)に西吉野村城戸までの車道が開通。この区間は1920年(大正9年)に(大正)道路法が施行された時に奈良県道五條西吉野線として認定。その後の1923年(大12年)には十津川村七色の県境までが県道として認定され、奈良県道五條本宮線となった。この県道が現在の国道168号線の前身となる道である。

>>国道168号線の誕生

 道路の改修工事は城戸から南に向かって進んで行く。1922年(大11年)には天辻峠を越える天辻隧道が開通し、新道(車道)が初めて十津川流域に達した。1925年(大14年)に十津川村川津まで延びてくるが、ここから南は険しい地形とV字型の曲流に阻まれて工事は進まなくなる。それでも1932年(昭7年)に十津川村風屋、38年(昭13年)に十津川村山崎、41年(昭16年)に十津川村小井まで延びたところで日本は太平洋戦争(大東亜戦争)に突入。戦争の激化により工事は中止となった。

 終戦後、工事は再開。1950年(昭25年)に十津川村小原付近までが開通。翌々年の52年(昭27年)に十津川村折立まで開通。十津川村折立〜平谷間には戦前に車道が開通していたので、ようやく五條〜十津川村平谷間の車道が開通したことになる。しかし平谷から南は果無(はてなし)山脈に阻まれてしまい車道の建設は止まってしまう。

 1953年(昭28年)5月、県道五條本宮線は国道168号線に昇格。誕生当時は分断国道だったのだろう。昇格後は既存道路の改修が行われたが、未開通区間(十津川村平谷〜和歌山県八木尾)は工事されることなく分断状態が続いた。

>>国道168号線の近代化

 1957年(昭32年)に吉野熊野総合開発事業の一部として二津野ダムが建設されることになり、その資材搬入経路として国道168号線が使用されることになった。そのため未開通区間の建設工事が始まり、2年ほどの突貫工事の末、1959年(昭34年)8月に 未開通区間が開通。ここに国道168号線が全通した。

 この間、猿谷ダムと風屋ダム建設にともなう水没道路の付け替え道路の開通、天辻隧道のバイパスとして新天辻トンネルが開通(1959年8月)するなど、全通までにルートが大きく変化し、現在に近い状態になっていた。

 全通後の国道168号線は年々増加する車の増加などに対応して道路の改修などが行われたが、基本的にクネクネ曲がりながら流れる川に沿うルートのため抜本的な改良が求められるようになった。旧来の道路の道幅を拡幅する一方で、蛇行する川沿いではなくトンネルと橋によって一気に短絡するような形のバイパスが建設されるなどして改良が進んだが、それでも十津川沿いは地形上限界があり改良はなかなか進まなかった。

 1994年(平6年)12月、地域高規格道路として『五條新宮道路』が指定された。五條市〜新宮市間の約130kmにも及ぶ高規格道路だ。旧来の国道16

8号線の道路を改良しつつ、無理な場所では別ルートでのバイパスを建設するという大工事となった。一部区間はすでに完成・供用開始されており、現在でも辻堂BP、十津川道路、本宮道路(田辺市本宮町土河屋〜大居)、越路道路(新宮市五新〜相賀)などで計画中もしくは工事中となっている。

参考資料>>「奈良県史」「大和百年の歩み」「西吉野村史」「大塔村史」「十津川」

 

国道168号線旧道(1)

老野/神野地区旧道  

 

国道168号線旧道(2)

西吉野TN旧道/西野TN旧道

 

 

国道168号線旧道(3)

天辻峠旧道

 

 

国道168号線旧道(4)

猿谷ダム旧道/小代下TN旧道

 

  国道168号線旧道(5) 宇井地区旧道/宇宮原バイパス旧道/上野地TN旧道

 

  国道168号線旧道(6) 風屋ダム旧道  
  国道168号線旧道(7) 山崎TN旧道/池穴TN旧道/小井TN旧道/湯之原TN  
  国道168号線旧道(8) 平谷地区旧道/十津川道路(七色高架橋)旧道  

 

国道168号線旧道(9)

熊野川本宮道路旧道

 

◆Update:2008年2月23日

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